フライ,ダディ,フライ

FLY! メイキング オブ「フライ,ダディ,フライ」
/ 東映
『フライ,ダディ,フライ』VISUAL BOOK ~スンシンの哲学~
加藤 義一 / 角川書店


『飛べ、おっさん、飛べ!!』


『GO』で直木賞を受賞した金城一紀の脚本家デビュー作です。
とても後味のいい映画でした。

いや~~!!岡田君のかっこいいこと!!しびれました!(〃ω〃)
例によってラストまで詳しく語っちゃう予定ですので、結末を知りたくない方はご注意ください。
観賞された方、観た気になって楽しみたい方はどうぞ♪


モノクロのシーンから始まります。
新興住宅地に家を持つ、仕事帰りのサラリーマン。
バスを待つくたびれた親父たちから少し離れたところに、1台の車が停まります。
鈴木一(堤真一)を迎えに来た妻と娘。
車中での仲の良い父娘の会話、素直そうな娘の表情に我が娘(中1)の面影が重なり、のっけからもうすっかり感情移入している自分がいました。

翌日、あまりにも突然に事件は起きました。
連絡を受け病院に向かった鈴木の目に飛び込んできたのは、顔の形が変わるほど殴打され変わり果てた愛娘の姿でした。
事態が飲み込めず動揺する鈴木の前に、加害者の高校生・石原(須藤元気)とその教頭が現れ威圧的な態度を見せます。なんでも父親は次の次の総理候補だとか。(あれ?いいの?こんな名前使っちゃって?)
おまけにボクシング高校チャンプの石原にいなされてしまった鈴木に、娘は心を閉ざしてしまいます。
どこまでもモノクロの世界が続きます。
段々いつ天然色になるのか気になり始めた頃、場面が変わります。

とある屋上に在日高校生・朴舜臣[パクスンシン](岡田准一)が現れます。
熊川哲也ばりの颯爽とした登場です。華麗に舞うんですよ。
彼が両手を翼のように高く掲げた瞬間、世界が色付きます。なかなか洒落た演出でした。

翌日から夏休みという終業式のとある高校に刃物を隠し持って乗り込む鈴木。
「石原を出せーーっ!」とわめき散らすもスンシンに1発殴られあっけなくノックダウン。気絶してしまいます。
石原の高校に向かったつもりが・・・・・そこは別の高校だったんです。
目を覚ました鈴木に、事情を知ったおちこぼれグループが、“石原と戦うベシ”と鈴木に協力を申し出ます。
この時点でかなり怪しい高校生グループなんですが(笑)、スンシンが厳しい言葉を鈴木に投げつけます。
「だったらどうして素手で立ち向かわなかったんだよ?」
「大切なものを守りたいんだろ、おっさん」

スンシンの言葉を真剣に受け止めた鈴木は、40日間会社を休むことを決意します。
傷ついた娘のために立ち上がった“おっさん”と彼を鍛えるハメになった“高校生”の、大切なものを取り戻す熱い40日が始まります。

とにかくカッコイイ岡田くんとどこまでも情けない堤さん。岡田くんの髪は風になびき、堤さんの髪は汗でまみれます。(笑)

修行ものって好きなんですよね。成長の過程がワクワクします。
ツンツルテンの緑の学校ジャージに着替えさせられ、ひたすら走り、階段を駆け上がり、木に登る鈴木。
「三日もったら褒めてやるよ」と言われボロボロになりながら必死に次の日も次の日も特訓に通う鈴木に、少しずつスンシンも本気になっていきます。
最初はウォーキングのおじいちゃんおばあちゃんにも抜かれる始末だったのですが、公園を1周するごとに石を一つ置き、ピラミッドのように山ができた時颯爽と走る鈴木の姿がありました。

バス組のおっさんたちとの心通うエピソードもあります。
一生懸命っていうのは人の心を無条件で動かすものなんですよね。
バスを追いかけてひたすら走る鈴木にいつしかみんなで応援するようになって・・・

そして一番心に残ったのはスンシンとおっさん鈴木の関係です。
実はスンシンにも傷ついた過去があったんです。
木登りができるようになった時、枝に並んで腰掛けスンシンが静かに語りだします。
10歳の時に、リストラされたサラリーマンの自分勝手な逆恨みから、刺され重傷をおったことを。
その後暫く外の世界に出るのが怖くて、もう二度と刺されないように強くなろうと決めたんだと。
その以前に離婚した父は見舞いにも来てくれなかったと。
きっとそれ以来心を閉ざして生きてきたんでしょう。
悲しいほどの夕日でした。
笑顔になれないのはそのためだったんだなって、スンシンを抱きしめてあげたくなったら、鈴木さんが私の代わりにしてくれました。(笑)
次第に近づいていく2人の心の距離も、小物(スニーカー)でさりげなく表現されていました。

怪しげな落ちこぼれグループもなかなかいいフットワークを見せてくれます。
妻娘には全く内緒で特訓を続ける鈴木の健闘振りを病室まで届けたり、体力作りのための献立表を家に届けたり・・・
賭けの対象にされ憤慨する鈴木にも、彼らなりの真剣さが伝わります。
そして決戦前日。
休養日にあてた8月31日に、鈴木が彼らにささやかなプレゼントとして遊園地に招待します。
実はジェットコースターが苦手なスンシンに、「恐怖の向こう側にあるものを見たくないのか?」なんてスンシンの言葉をパクッタりして。(笑)

「娘が笑顔じゃないと自分の人生なんて何の意味もないのに・・・世界中を敵に回しても無条件で守ってやれるのは俺だけなのに・・・なんで見放すようなことを言ってしまったんだろう・・・」

遊園地の帰り、公園の芝生にみんなで寝そべりながら鈴木が語る言葉が、同じ親の立場として心に残りました。
そしてその言葉を受けて、スンシンが舞う“鷹の舞”がとても素敵でした。
モンゴル相撲の勝者の舞をスンシンがアレンジしたものってことなんですが、監督の依頼で全て岡田くんが創ったんですって。
心を自由にして生きていくっていうことを体現しているそうです。
とってもかっこよかった!!
強さはしなやかさなんだななんて思ったりして。

いよいよ決戦の日。
「俺は勝てるかな?」とつぶやいた鈴木に、「本物の勇気を感じることが出来たら、戦わなくても勝ちなんだ」と言うスンシン。
よく理解できない鈴木が出した答えは「俺は君を信じるよ」でした。

戦いが終わって、最後にスンシンが鈴木に駆け寄り子供のように飛びつくんです。
その満面の笑顔が子供のように無邪気で、心から喜びを表現していてとっても素敵な笑顔でした。
スンシンも飛ぶことができたんでしょうね。

とても楽しめてちょっとホロっときて爽快感が残るいい映画でした。
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by webwing | 2005-07-15 23:04 | 2005年劇場版


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