ネバーランド

  ネバーランド
/ アミューズソフトエンタテインメント



 「ピーター・パン」の物語は悲しみを乗り越えるために生まれた───
   たくさんの透き通った涙を夢と希望に変えて。



悲しみからではなく、心の奥から自然に湧き出てくるような涙を流してきました。
遠い記憶やら忘れていた感情やらが、意識とは別の場所から俄かに沸き上がり心が震えた瞬間がありました。
きっと私の涙も透き通っていたんじゃないかな?
そんな涙を流せた自分が愛しくなり、この涙こそがこの映画そのものだと思いました。
私の中の大切な1本になりました。

主演のジョニー・デップは、大好きな俳優さんの一人です。
「シザーハンズ」や「ショコラ」もいずれここで紹介したいな。
あ、「パイレーツ・オブ・カリビアン」のやんちゃなジョニデもいい!(笑)
シリアスな映画でもクスッと笑えちゃう不思議テイストを持っていて、そこが個性でもあり魅力だなと感じる彼には、バリ役は適役だと思いました。
だって彼自身が万年ピーター・パンみたいなんですもん。


前置きが長くなりましたが、そろそろ本題に・・・ネタバレです。
きっともっと長くなると思いますが、よかったらお付き合い下さい。(苦笑)


1904年12月27日に「ピ-ター・パン」がロンドンの舞台で初めて上演されてからちょうど
100年目に作られた作品。
劇作家ジェームズ・マシュー・バリが、舞台劇「ピーターパン」を産み出すきっかけとなったデイヴィス一家との心の交流が繊細に静かに描かれています。

1903年のロンドン。
華やかに着飾った人々で埋め尽くされた劇場の片隅から、客席の反応を盗み見るジェームズ・バリ。
新作『リトル・メアリー』の舞台初日から物語は始まります。
客の反応は悪く、翌朝の新聞には酷評が・・・
気落ちしたジェームズは、愛犬ポーソスを連れ散歩に向かった公園で、若い未亡人のシルヴィアとその4人の幼い息子たちと出会います。
少年たちとすぐに打ち解けていくジェームズは、中でもどこか冷めた物言いで少年らしさの見られない三男のピーターを気に掛けるようになります。
やがてジェームズとシルヴィア親子との交友が深まっていく一方、強い疎外感にさいなまれるジェームズの妻メアリー。
純粋に子供たちとの交友を楽しんでいたジェームズにはそんな妻の気持ちが理解できず、夫婦の仲は冷えたものになっていきます。
そんな中、ジェームズはいつしかピーターに、自分の少年時代を垣間見るようになります。
父を亡くした悲しみのあまり、早く大人になろうと無理をしているピーター。
その姿は、兄を無くして悲嘆に暮れる母を慰めるため、少年の自分をネバーランドという永遠のファンタジーの世界へ追いやってしまった、ジェームズ自身の過去の姿と重なり合います。
そんな彼の思いは、新作劇に投影していきます。


ここからはもっと突っ込んだネタバレと感想です。
何の先入観も持たずに観たい方は、観賞後またお立ち寄りください。
あ、もう随分先入観与えちゃってますね。(滝汗)

観せ方がとても上手いんです。
無駄な説明なしにパッと空想の世界の映像が映し出されて・・・
最初に驚いたのは、『リトル・メアリー』の上演中に観客席にザーザー雨が降った時でした。
公園で愛犬をサーカスの熊に見立ててダンスを踊り、少年達の拍手喝采を浴びるシーンとか。
インディアンに扮するジェームズを映す前に、既に子供の笑っている部分を映すとか。
この意表をついた技法が繰り返されたお陰で、知らぬ間に少しずつ観る側の脳ミソも柔らかくなっていって、終盤では私自身も瞬時に空想の世界にトリップできたんだなと思いました。

子役たちもとてもいい演技をしているんです。
「私が今書いている芝居の男の子にきみの名前をもらってもいいかい?」と尋ねるジェームズに答えるピーターの表情とか。
ラストのピーターの涙とか。

そして長男ジョージもピーターに負けず劣らずとても光ってました。
母シルヴィアの病状の悪化にしたがい長男として徐々に大人になっていくジョージ。
そんな彼を見守るジェームズとの信頼関係が素敵でした。
「今、30秒で少年が大人になった」とジェームズが言うシーンがあるんですが、その時のジョージの横顔に感動しました。
まさにそんな瞬間があるんですね。
そして母の意思を尊重しようとおばあちゃんに反抗して自分の考えをはっきりと言い放つジョージ。
そこには確かに大人に成長した姿がありました。

『ピーターパン』の舞台の初日。
批評家が絶賛する作品にしか興味を示さない上流階級の人々に、本来の舞台の楽しみを思い起こしてもらおうと、孤児院の子供達を招待します。
気難しい顔で演技を眺めていた上流階級の大人達の顔が、子供達の無邪気な笑い声とともに、次第に柔らかな表情となり、最後は大人も子供も感動を共有できるんです。
子供たちの笑い声が、大人たちの心に童心を取り戻させてくれたんでしょうね。

そして具合が悪くなり劇を観れなかったシルヴィアのために、ジェームズは魔法のようなプレゼントを用意します。
私はこの場面が一番感動しました。
一瞬にして私の心もネバーランドに飛び立ったんです。

そしてこの映画のラスト。
そのピーターとジェームズがお互いの心を通い合わせるシーンはやはり泣かせます。
信じる力を失ってはいけないと説くジェームズ。

信じてさえいれば、大人になっても心は自由に飛びまわれることができる。
そんな素敵な魔法を教わった気がしました。

グリーンが美しい風景がスクリーンから迫ってきて観客をも包み込みます。
これはビデオでは体験出来ない出来ないんじゃないかな?
シルヴィアのために用意したネバーランドもぜひ劇場で観て欲しいな。

とにかくお勧めしたい映画です。
何かを感じられると思います。


【パンフレットこぼれ話】
ダスティン・ホフマンが演じる興行主で友人のチャールズって『シャーロック・ホームズ』の著者アーサー・コナン・ドイルだったんですって。

それと、ピーターを演じたフレディ・ハイモア君はなんとジョニデと同じ6月9日の誕生日なの。
だから気が合うのか、ジョニデお気に入りの俳優さんとなり、次回作でもジョニー・デップと共演するそうです。

そしてここでの兄弟は4人なんですが、実際は5人兄弟だったそうで、本当のディヴィズ家の5男坊の娘、ローラ・ドゥグッドが出演しているんですって。『ピーターパン』初演後のパーティのシーンで、ピーターに「あなたが、ピーター・パンね」と話し掛ける女性だそうです。



最後まで読んでくださってありがとうございます。
上手く伝わったでしょうか?
本当はジェームズとシルヴィアのプラトニックだからこそもっと深いところで結ばれている関係とか、妻メアリーの心情とかもっと書きたかったんですけど、これ以上長くなるのもどうかと思って・・・
もう十分長いんですけどね。(撃沈)
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by webwing | 2005-02-05 02:13 | 2005年劇場版


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